口を開けたり、噛んだりするとあごが痛いというデスクワークの女性。2年ほど前に発症し、レントゲンでは右の顎関節が狭くなっていることが指摘されています。また左の関節円板が前にずれているという診断がありました。関節円板とは関節内にあって骨と骨の間にあるクッションのようなものです。
オステオパシーでの検査をしてみると右のあごに問題がありました。下顎骨頭が後方に位置しており、前に移動することができなくなっていたのです。下顎骨頭が前に移動することができるような調整を行うと開口と閉口の動きが改善され、それに伴って痛みは消失しました。
正常なあごの運動というのは、口を開けていくときに骨頭が1cmくらい前に動かなければいけません。それができなくなっていると口が開かなくなり痛みが出ます。
痛みを回避するために反対側の顎関節をより大きく動かして補おうとします。このケースでは右の顎関節が動かないので、左の顎関節が過剰に動いていました。その結果左の関節円板は前にズレていってしまったのだと考えられます。このようにある一つの関節が動かなり、それをかばって逆側の関節、ないしは隣接する関節が過剰に動いてしまうことをオステオパシーではアダプテーション(代償)といいます。