なぜ「原因」ではなく、「要因」という言葉を使っているのでしょうか?
それは複数のものが同時に関係しているイメージを持ってほしいからです。
原因というのは1つのものが1つの結果に結びついているイメージを連想させますが、要因はいくつかのものがからみ合って1つの結果を起こさせているイメージがあります。1本の糸が1つの糸球を作っているか、いくつかの糸が1つの糸球を作っているか、という違いでしょうか。
かみ合わせに話を戻すと、いくつかの糸がからまっています。つまりいくつかの要因が同時多発的に存在しているので、「これだけ治せばよい」とか「〇〇が9割」的なものではないのです。
ではかみ合わせを悪くする要因はどのようなものがあるのでしょうか?
かみ合わせを悪くする要因
歯科領域
すぐに思いつくものは歯、歯列の形状、など口の中の問題ですね。虫歯、歯槽膿漏、またそれらの治療に伴って噛み合わせというのは常に変化しています。
ボトックス
ボトックスは顔の筋肉を麻痺させ、しわを改善するために用いられています。顔の筋肉の作用が低下することでかみ合わせに影響が起きます。
うつ、統合失調症、パーキンソン病
これらの疾患は顔の表情が少なくなると言われています。この状態が続くと知らず知らずのうちに表情筋が弱くなっていることがあります。表情筋はアゴの動きにも関係しているので、かみ合せに影響するのです。
かみグセ
誰でも右と左で強くかみやすい方、かみにくい方とがあると思います。ですから誰でもかむ筋肉には左右差があるのですが、あまりにも大きく左右で違っているとかみ合せに違和感が出てきます。
寝る姿勢のクセ
横向きで下になっている方のアゴが枕に圧迫されて状態が毎日毎日続いていると、左右で顔の筋肉バランスが変わりかみ合せにも影響します。
ほおづえ
ほおづえをついて片方のアゴを手で押している状態が繰り返されると、左右で顔の筋肉バランスが変わりかみ合せにも影響します。
顔のケガ、手術
顔のケガや手術などがあると患部は今までよりも硬くなり「瘢痕(はんこん)」という状態になります。この硬さはケガや手術を終えて何年も経ったあとでも持続します。すると数年経ったあとで顔の筋肉バランスが変わりかみ合せにも影響が起きてきます。
鼻、のど、の問題
咬む筋肉と鼻、のど粘膜は同じの骨(蝶形骨)にくっついています。鼻、のどが腫れたりすると蝶形骨を介してかむ筋肉の作用が乱れ、かみ合せに影響するのです。
ねこ背(姿勢)
背中が丸まって頭が前に突き出た状態は、アゴが後ろに下がってしまいます。この姿勢が繰り返されることで、知らず知らずのうちにアゴの位置が変わり、かみ合せが悪くなります。また逆に背中に丸みがなく、平坦になり過ぎている状態ではアゴが前に出てきます。
ストレス、精神的緊張
何かを頑張ろうといている状態では力が入ります。特に咬む筋肉はストレス、緊張で力が入りやすくなります。
出産
臨床上では出産後にかみ合せの悪化を訴える方が多くいます。これこそ一つのメカニズムで説明することはできず、すべての関節がゆるくなったり、骨盤や背骨の歪み、かみしめ、くいしばり、など様々な要素がからみあって起きているのでしょう。
オステオパシーによる施術項目
オステオパシーによる施術は以下の部分をチェックし修正していきます。
- 過去のケガ、手術による瘢痕
- 表情筋
- かむ筋肉
- 上顎の骨
- 下顎の骨
- 鼻の骨
- かむ筋肉と鼻のど粘膜が付着している骨(蝶形骨)
- 背骨
- 骨盤
改善のポイント
当院にご来院いただく前にまずは歯医者さんで歯、口腔内の問題がないか?を見てもらいます。次に当院にて「かみ合わせを悪くする要因」をひとつひとつ調べていきます。そして問題があればそれぞれ修正してきます。
「かみ合わせを悪くする要因」 が生活習慣から起因している場合は、その習慣も工夫して減らしていく必要があります。
また「かみ合わせを悪くする要因」 が心理面から起因している場合は、カウンセリングや環境改善などが必要な場合もあります。