毎朝、目覚めるとお尻が痛くなっているという女性。上を向いて寝ていると痛いので横を向いて寝ているが、それでも痛くなるとのこと。

この方は寝ているときの痛みということで内臓の病気をとても心配していました。幸いなことに消化、泌尿、生殖の医学的な異常はありません。

「検査をしますので仰向けに寝てください」と言って診察ベッドに寝てもらうとほんの数分で「痛くなってきました」と訴えます。痛みのない体勢に変更して検査を進めると、左股関節のある筋肉に問題が見つかりました。その筋肉を調整すると上を向いて寝ても痛みが出なくなったようです。

さて、ある筋肉というのは、腸腰筋と恥骨筋です。これらの筋肉が硬くなると股関節の重要な血管である内側大腿回旋動脈(MFCA)が圧迫されます。

MFCAの圧迫で血が行かなくなって低酸素状態になっているか、もしくは挟まれた動脈自体が痛みを発しているか、で股関節周辺のお尻や腰ら辺まで痛くなることがあります。

MFCAの障害が重症になると骨が壊死してしまう骨頭壊死というものになる可能性がありますので、股関節をよく動かしておくこと、そして動脈硬化を進行させないことが大切になります。