年末から肩が痛くなって、動きにくくなったという方が来ました。他の症状を聞いてみると胸のしこりが痛いという事も言ってました。
実は肩が痛くて上がらない症状と乳腺の症状は関連している可能性があります。
おっぱいの解剖学
まずはおっぱいの構造を確認するために乳房の中をのぞいてみましょう。乳房にはお乳を作る乳腺とお乳の通路である乳管が収納されています。
乳腺で作られたお乳を出すためにはギュッとポンプのように押し出す装置が必要になります。そのため乳腺の周りには伸び縮みする細胞が囲んでいます。これを筋上皮細胞（きんじょうひさいぼう）と言って、本人の意思とは関係なくホルモンや自律神経に操作されて収縮を起こします。
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筋上皮細胞が緊張すると乳房の痛みになります。「乳張って痛いわ～！」って状態です。授乳期間や生理前なんかになりますよね？あれは筋上皮細胞が緊張して乳腺が硬くなっているんです。
[aside type=”normal”] 補足中学生くらいの男子も乳にしこりができて痛くなることがあります。おそらくホルモンのバランスが影響しているのだと思います。僕もなりました。
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乳腺が緊張すると骨にも影響が・・・
乳腺の一部がしこりになり筋上皮細胞の異常な緊張があると靭帯や脂肪、その他の組織は引っ張られます。乳房はクーパー靭帯によってテント状の構造に維持されています。つまりおっぱいの形はクーパー靭帯によって保たれているってワケ。
さてそのクーパー靭帯ですが、胸の筋肉の表面に結合しています。胸筋の上に張り付いているような感じですから、何らかの原因で乳腺の異常な緊張が起こるとクーパー靭帯を介して胸筋の筋膜、肋骨、鎖骨も一緒に引っ張られます。
すると、骨とか筋肉の動きにも影響が出てくる。
胸筋、肋骨、鎖骨が引っ張られて伸びにくいと肩の動きに引っ掛かりが出てきて痛みを伴います。
この場合、骨や筋肉を整えると一時的に肩が動くようになりますが、すぐ戻ります。
乳がん検診は定期的に
- 胸にしこりがある人で肩を上げると痛い。
- 整体や整骨院、マッサージなどに通い、やると少し良くなるけどまた戻る。
- それが6週以上続いている。
このような傾向なら、ホルモンの乱れ、もしくは乳腺に問題があるかもしれないので、婦人科を紹介して乳房検診を受けてもらいます。めんどくさいし、不安だし憂鬱ですがぜひ検査してください。
乳房にしこりに痛みがあって、肩が痛くて上がらない場合はほとんどが良性なので、そこまで心配はいりません。
だけど悪性化する事もありますから、引き続き定期的な検査が必要になります。
むしろ、悪性だと
- 前は肩が痛くて上がらなかった
- 前は胸のしこりが痛かった
- 放置してたけど今はなんともない
って感じになります。症状が少なくなるんですね。
なぜかというと悪性化すると筋上皮細胞は無くなってくる（破壊されてる）傾向があります。下の図の一番右側の絵です。
悪性化して筋上皮細胞が壊れてると、乳腺の緊張も起きないので肩の痛みは無くなり改善されたように感じます。またしこりの痛みも感じなくなってきます。
つまり症状が出なくなったら
改善しているからか、悪化しているからか、どっちかですが、
検査しないとわかりません。
だから痛みが無くなったら、より慎重にならなくてはいけないのです。
良性だとしても、ホルモンや自律神経の乱れで乳腺の形成がトラブっているという事なので生活習慣の見直し(特に睡眠)やストレスケアが必要です。
あと季節のせいもあります。日照時間の短縮によりホルモンのバランスが変わります。
[aside type=”normal”]補足
日の光を浴びる時間が減るとメラトニンというホルモンが増加する。メラトニンは性腺刺激ホルモンを抑制し、乳腺の形成に影響が出ます。[/aside]
さいごに
ぼく個人の見解として肩が上がらなくなるのは、背景としてほぼ筋骨格系以外の問題があります。(ケガは別）
肩の関節に症状が出ていますが、原因は乳腺、血管、心臓、肝臓の機能低下によるものが多いです。実際に四十肩、五十肩は夜間の循環血液量が少ない時間帯に痛みが出てきます。この時、血行障害があることが確認されています。
肩が上がらなくなったら、体が何か訴えているんだと思って下さい。