年齢を重ねるほどウィメンズヘルスの問題で多くなるのが膀胱のトラブル。今回はケーススタディとして膀胱の痛みで悩む女性について考えていきたいと思います。
病院の検査では異常のない膀胱痛
膀胱の痛みを訴えて来院された60代の女性Uさん。
しゃがんだ姿勢が続いたり、たくさんの歩いたりすると痛みが悪化するようです。
Uさんにはこれからの暮らしに不安がありました。
このまま悪くなってしまったら、
毎日のワンちゃんとの散歩、海外への旅行、愛情をかけて育てている菜園づくり、
それがこの先、できなくなってしまうかもしれない…
そんな不安を抱えていました。
この膀胱の痛みは内科、泌尿器系、婦人系の検査では何も異常が見当たらず原因不明。
そこで泌尿器系の問題を取り扱っているという話を聞いて当院に来ていただきました。
《60代Uさんの症状》
- たくさん活動した日は膀胱が痛い
- 翌日も痛い
- しゃがむ姿勢で悪化
- 病院での検査は異常なし
膀胱の痛み。その原因は?
一体何が原因で膀胱の痛みが出るのでしょうか?
体を調べていくとある問題が見つかりました。それは・・・
内転筋の緊張です。
そこで内転筋の緊張を整えるため
・脚の歪みを修正すること
・内転筋を柔らかくする自宅エクササイズ
を行いました。
その後の経過ではたくさん歩いたり、庭仕事をしても痛みが出なくなっているようです。
でも、ただの筋肉の緊張が膀胱の痛みなるのはなぜでしょう?
内転筋と膀胱の痛みの関係
内転筋というのはももの内側についている筋肉です。この筋肉はスカルパ筋膜という筋膜を介して膀胱とつながっています。
薄いグリーンの部分が筋膜です。太ももの筋肉とつながっていることがわかります。
筋膜という組織はコラーゲンで構成された膜です。肉やお刺身を食べたときになかなか噛み切れないスジがありますよね。あれが筋膜です。
そして筋膜は「結び」の役目をもっています。Aという組織とBという組織を結んで神経、血液、リンパ液を伝達するのです。内転筋はスカルパ筋膜という筋膜によって膀胱と結ばれています。
したがって内転筋が緊張を起こすことで、スカルパ筋膜を介して膀胱まで疲労物質が運ばれてしまうのです。
内転筋の緊張を起こす人
内転筋の緊張を起こしやすい人はO脚や外反母趾など脚の歪みがある人です。脚の歪みがある状態で立つ、歩くなどの動作を繰り返すとかたよった筋肉を使うことになります。
また内転筋を酷使する作業が草むしり。
しゃがんだ状態から深い根を引き抜くときに内転筋に力が入ります。何時間も続けて草むしりをしていると内転筋の疲労が起きて、2~3日後からは緊張が起きます。
内転筋による膀胱痛の自宅ケア
ここではUさんも行った自宅でのお手入れを紹介します。
Uさんはこのまま歩くたびに膀胱の痛みが出るようなら、ワンちゃんとの散歩や庭仕事、菜園のお手入れなどはあきらめて暮らしていかなければなりませんでした。
でも今は少し自信も取り戻して「海外旅行へ行ってみたい」そんなお話もお聞きしました。
体の調子が整うとこれからの暮らしも楽しみになります。