例えばあなたがいくつかの症状を持っていたとしましょう。そのうちの一つにホットフラッシュ(顔のほてり)があったとします。
すると、私たちはあなたにいくつかの質問をします。それは、
「過去にお腹の手術をしたことがありますか?」
「お腹がつったり、張ったりすることは頻繁にありますか?」
などお腹のことに関する質問です。特に手術があったかどうかは重要です。
いったいなぜ「お腹」に関することを聞くのでしょうか?
なぜわたしたちは「過去の手術」を気にするのでしょうか?
お腹とホットフラッシュの関係
癒着したところは硬くなる
手術で切ったところは、必ずくっつかなくてはいけません。そこで、人体はコラーゲンファイバーを増殖させる。これが接着剤となり、切れたところはひとつにつながります。
これが癒着という現象です。
病院では手術後から「癒着しないように動いてください。」と言われますがこの時の癒着は少し意味が異なります。
この時言われる癒着は、臓器が働けなくなるレベルの癒着のことです。
例えば、腸がふさがって通過できなくなるようなレベルのことです。
そこまでの癒着が起きることは稀ですが、手術の傷がくっついていれば少なからず癒着は起きているのです。
癒着した場所は他の場所よりもコラーゲンファイバーが密になっているため、柔軟性が低下します。
すると、お腹にひきつられ感やつっぱり感を感じるようになります。これは手術痕がこわばっているため、お腹の膜全体が伸びにくいのです。
全身の血管が拡張する
そしてこのお腹のひきつられ感、つっぱり感がホットフラッシュや頭痛に関与することがあります。
お腹の膜には血管が埋め込まれていて、その血管が伸ばされると、炎症を促す物質が遊離されます。
すると全身の血管が拡張し、カッと顔がほてって、ホットフラッシュになることがあります。
血管拡張の流れ
- 傷が癒着する
- 癒着したところが硬くなる
- 硬いところがのばされる
- 血管から炎症物質が出る
- 全身の血管が拡張する
【ケーススタディ】 ホットフラッシュ+頭痛
松本市にお住いの会社員Uさんも、40後半になり身体に変化を感じるようになりました。
もともとあった頭痛はよりひどくなり、ホットフラッシュを感じるようになったのです。
身体を調べてみると、お腹に硬さがありました。聞いてみると、過去に腹部の手術をやっているそうです。
そこで、お腹の膜を柔らかくする治療を行うと、ホットフラッシュは減少し頭痛はほとんど出なくなっているようです。
よくあるケース
- お腹の手術を行っていることがある
- 夏が嫌いで冬の方が好き
- ホットヨガに誘われても断る
- 「暑い」とか「汗」に抵抗感がある
- そのわりに冷え性
・・・という人によく見られます。
女性は年頃になると、体調変化を感じるようになります。しかしほとんどが更年期という言葉で処理されるだけで終わります。
残念ながら今の社会は更年期障害に理解はありません。いや、正確には更年期障害を持つ1人の人間に理解がないと言えます。ガンやうつ病とは違って医学的には病気のくくりに入っていないためです。また「みんな通る道」とも思われています。
確かに年齢を重ねるとホルモンは変化して身体に影響を与えます。
ただし更年期だからという理由だけではないことも忘れてはいけません。
体質、過去の手術、生活環境、ストレス状況、様々な原因が複雑にからみあって今のつらさがあります。
Uさんのように腹膜の手術痕は頭痛やホットフラッシュの要因になることもあるし、
心理的な問題はストレスに対抗するホルモンを枯渇させ、症状を悪化させる、ということもあるでしょう。
複雑であればあるほど、症状は重くもなります。ですから当然、同じ更年期障害でも症状の重さは人それぞれです。