「治療」は医療の仕事、「健康づくり」は自分の仕事です。

しかしなんの不調もないのに健康を意識して暮らすのはなかなか難しいことです。今すぐ困っているわけではないのですから、ついサボりがちになります。

今すぐ困る状況になってから「何かしなきゃ」となります。でもその時はやはり医療に頼ることになって、ちょっと治ったらまたいつも通り…

でもこんなことを繰り返していて将来、ガンになったら困る…
認知症になったら困る…
だから予防しないといけない!

多くの方はこんなことを思うのではないのでしょうか。そもそも健康の質を高める目的が「将来のため」という理由だと行動につながり難くなります。

つまり予防は続かないのです。

なぜかというと、人間の素質として「将来のために今苦労する」ということが苦手だということがわかっています。

例えば今すぐ1万円もらえるのと1年後に1万3000円もえらるのと、どちらかを選ぶとすると多くの人は「今すぐ1万」を選んでしまいます。

どう考えても1年後の1万3000円のほうが価値があるのに、人間の性質上、時間の経過によって価値を薄めて認知してしまうからです。これを行動経済学の分野では時間割引と言います。だから私たちは「将来の健康」より「今すぐケーキ」を選んでしまうのです。

では、普段から健康の質を高める行動をしている人は人間を超越した仙人なのでしょうか?

そういうことではありません。普段から健康の質を高める行動を行っている人に多く見られる特徴があります。

それは「今日を最高の1日にしたいから」という目的をもって日々過ごしていること。彼ら彼女らは遠い将来のためより、今を楽しみ、精一杯にやりたい、そのためには元気じゃないとね。そんな哲学をもっています。

これは近年、世界的にも注目されている禅や迷走に近いものがあります。

変動する世界の中、学者が未来を予測しても、どんなに準備しても不安や心配が無くなることはありません。不安のまま人生を送るより、今を楽しみ、そばにいる人を大切にしよう!という考えがグローバルに広がりつつあります。

つまり「今を生きる」ということです。

ですから普段から健康の質を高める行動をしている人は「将来のために苦痛でも頑張って・・・」という感覚はありません。

どちらかというと楽しんでやっているだけなのです。「結果」のためだけでなく「プロセス」も楽しいから前に進み続けることができます。

楽しんでいろいろな運動をしていたら結果、健康的に暮らせている。という状態です。

よく100歳を越えた方に「長生きの秘訣は何ですか?」とインタビューしていますが、みんなそれぞれあれやこれや健康の秘訣を語ります。「適量を守ることです」と言った女性もいたし、「酒とタバコだ」と言った男性もいました。でも彼ら彼女らは長生きをするためにこのような行動をとってきたのでしょうか。おそらく毎日、気分がよくなり楽しめることをやってきて、結果的に長く生きたのではないかと推測しています。

これから何か健康のために始めようと思っている方も結果だけにこだわらず、ぜひ「プロセスも楽しいか?」を重視してみてください。