上面では眼窩、内側では鼻腔、下面では歯列、口腔を形成している。また目、鼻、口の表情筋が付着している。したがって目、鼻、口、歯の左右差に直結する骨である。

骨との隣接

図1

前頭上顎縫合

頬骨上顎縫合

涙骨上顎縫合

鼻骨上顎縫合

上顎間縫合

図2

篩骨上顎縫合

口蓋上顎縫合

鋤骨上顎縫合

その他臨床的に考慮する構造物

歯槽神経

歯槽脈管

翼口蓋窩

涙管

生理的運動

図3

上顎骨はMRP吸気で後方回旋し、歯列は開く

矢状面上で後方回旋(口蓋は下がる)前額面上で側方移動しながら、外側は上方へ内側は下方へ(効果アーチの減少)。水平面上で内旋(上顎間縫合が沈み、歯列が開く)。(図3)

オステオパシー機能障害

縫合の制限

上顎骨のMRP運動制限

上顎骨のMRP運動の左右差

オステオパシー検査

リスニングテスト①

術者の2~3指を上顎骨歯槽突起に置く。MRP吸気の動きをモニタリングする。

リスニングテスト②

術者の頭方手で蝶形骨大翼をモニタリングする。尾方手の示指中指を大臼歯にコンタクトする。頭方手でMRP吸気フェーズを確認し、同時に尾方手の動きを観察する。

モビリティテスト

MRP吸気の動きを増幅させるように促す。動きの制限を探す。

オステオパシーテクニック

前頭骨からの引き抜き

  • 術者は健側に位置する
  • 頭方手で前頭骨、尾方手で上顎骨にコンタクト
  • 前頭上顎縫合を離開させる

頬骨上顎縫合のダイレクトテクニック

  • 術者は健側に位置する
  • 頭方手で頬骨をコンタクト
  • 尾方手で両側上顎骨、または患側上顎骨にコンタクトする
  • 上顎骨を固定し頬骨を動かす。

篩骨上顎縫合のリリース

  • 頭方手で前頭骨の外側柱を把持しPRM内旋を強調する(篩骨切痕を締めて篩骨を固定するため)
  • 尾方手の母指、中指で両側上顎骨歯槽突起を把持する
  • 前額面と水平面の2方向で動きの制限があるところでキープし、制限が溶けるまで待つ

横口蓋縫合(口蓋上顎)縫合のリリース

  • 頭方手は蝶形骨大翼をモニターする
  • 尾方手の示指と中指で横口蓋縫合をまたいでコンタクトする
  • PRM吸気で縫合を開き、PRM呼気で閉じないよう維持する

正中口蓋縫合のダイレクトテクニック

  • 頭方手は蝶形骨大翼をモニターする
  • 尾方手の 示指と中指で正中口蓋縫合をまたいでコンタクトする
  • PRM吸気で縫合を開き、PRM呼気で閉じないよう維持する

翼口蓋神経節テクニック

  • 術者は反体側に位置する
  • 尾方手の小指を歯槽部に沿って翼口蓋窩の方向に進ませる
  • 歯槽部の最終端で患者に顎を患側にスライドしてもらう。(下顎骨の筋突起を避けるため)
  • 更に翼口蓋窩の方に進行させ、後上方に圧のベクトルを向ける。